消滅したはずの援助コギャルが復活

援助交際でこの世の春を謳歌してきたコギャルたちも、今や立派なOL世代。
会社で必需のパソコンや、スマホを使いこなして、アフター6の援助活動を盛んに行っているという噂が流れている。
その実体を探るべく、俺は知り合いの女の子に片っ端から電話をかけ、やっとで話を聞くことができた。
OL歴2年、会社では一般事務の仕事をしている沙織 (仮名)は、ギャルの援助交際がピークだった頃、2人のスポンサーから月に10万円程度の収入を得ていたという、バリバリの援交世代だ。

大学を卒業した後、一般企業に就職したのだが、正直言って給料は安い。
大好きなブランド品を買うことも、友達との海外旅行も自由にできない現状が待っていた。
心の片隅に欲求不満を抱えるようになっていた沙織は、今から1年くらい前に、インターネットを使った 援助交際があることを友人から教えてもらった。

「友達から有名サイトを教えてもらって、掲示板に「欅坂の○○○○に似てると言われる24歳。いろんな面で助けてくれるお兄さんが欲しいな、ってメッセージを書き込んだら、50通くらいのレスが来たの。一番条件が良さそうな人と会ってエッチしたら、30万円くらいおこづかいをくれたからビックリ」
サイト援交が復活してから1ヶ月後には、スマホを使って自宅でのびのびと援交に耽っているという。

「今は週に1~2回のデートで、トータルで月に7~8万はもらっているよ。高校生のときに援交してたときは、口臭ハゲの中年オヤジと嫌々つきあっていたけど、今の相手はコンピュータ関係の仕事をしているあっさり系の人。スマホのことも教えてもらえるし、超お得物件って感じの出会いだったわ」
しかも、沙織がつきあっている男は、彼1人ではない。
毎週のように会う相手もいれば、1回限りのつきあいの相手もいるという。
沙織が語る援助系サイトの盛りがりぶりと、当時のコギャルの復活は、あまりスマホが得意ではない俺の興味をそそった。
スマホを使った援助交際は、どれだけ盛り上がっているのだろうか ?

実際に援助系サイトを覗いてみて、いい女がいれば会ってみようと大好きなキャバクラ通いを止め、しばらくはネットサーフィンに精を出すことにした。
援助交際になかなかたどり着けない
最も盛り上がっているサイトはどこだろうと、「援助交際」というキーワードで検索を開始。
約7000ものヒットがあったのだが、出てくるのはAVの紹介や、マニアの投稿写真がほとんど。
なかなか出会いの援助系のサイトにアクセスできない。
やっとで見つけたサイトも、コンテンツの堂々巡りをするだけだったり、すでに掲示板が使用できなくなっていたり。
次から次へと「Not Found」の悲しい文字が表示されるので、俺は虚しい気分になっていた。
援助系のサイトが盛り上がっているってのはウソだったのかよ。
沙織のことを少し怨みつつ、『大人の出会い』『男女の出会い』『割り切った出会い』、極端なところで「足長おじさん」などのキーワードで検索をかけてみた。
やっと交際希望者のところにたどり着いたと思いきや、「物品や金銭の要求、援助を目的とした書き込みはお断りします」などの注意書きが書かれているところがほとんど。
冷静になって考えると、もしも表立って『援助交際いたします」なんて書いてしまったら、何か事件がったときに責任を問われたり、あらぬ疑いをかけられてしまうのは、そイトの管理者であり、サイトを利用している一般人だったりするということに気がついた。
サイトはあくまでも出会いをセッティングする場であって、金銭の授受を行う場ではない。

そのことに今まで気付かなかった俺って、何てバ力なんだろう。
気を取り直して、スケべな雰囲気が漂うサイトに再チャレンジ。
すると、「割り切った交際を希望します」というメッセージが、次から次へと出てくるではないか。
気になったのは、彼女らの言う割り切った交際とは、金銭の授受を希望するのか、それともセックスだけの割り切った交際を希望するのか、非常に曖昧だったこと。

もちろん、セックスだけの付き合いでも、満足できれば俺はそれでいいのだが。
年齢は10代から30代まで実に様々だが、やはり20代前半の旧コギャル世代が多いような気がする。
そんな中、26歳の独身OLが書き込んだ、「欲しいものがいっぱいあって困る」という、なにやら遠回しに援助を要求しているような一節を発見。
俺は早速

「どんなものが欲しいのか教えてほしい。僕も少しは○○ちゃんの役に立てるかも知れないから」
とメールを送った。
ゴージャス美女が要求してきたこと
数日後、レスが返ってきた。
何度かメール交換をしているうちに、俺は実際に彼女と実際に会うことにした。
待ち合わせの時間と場所を決め、目印として椎名林檎のCDをテーブルの上に置いて待っているとのメー ルを送った。
すぐに「楽しみにしてます」のレスが返ってきて、彼女も乗り気のような雰囲気だった。
待ち合わせ場所の喫茶店、約束の時間が5分くらい過ぎたころだった。
入口のあたりでキョロキョロしていた女の子が、テーブルの前にやって来た。

「こんにちは」
身長160センチくらいの細身の女の子で、ルックス的には白石麻衣を少し田舎っぽくアレンジしたような感じだ。
俺的にはラッキーという思いでいっぱい。
名前は芳美(仮名)と言った。
ひとり暮らしで営業事務のOLをしているというわりには、身につけている服や小物は、さりげなく高級ブランド品で、年齢の割にはゴージャス感が漂っている。
俺が今身につけているブランド品って、ジッポのライターとリーバイスのジーンズ、今さらナイキのスニーカーくらいじゃないか。
簡単に世間話をしたあとで、掲示板にあった「欲しいものがいっぱいあって困る」という言葉について尋ねてみると。

「ブランドの服やバッグ、あと、車も欲しいし、休みにはダイビングにも行きたい。本当に欲しいものがいっぱいありすぎるの。でも、一番欲しいものは、それらを手に入れるために必要なお金かな?」
出た。

やっぱり金銭の援助を求めてきた。
希望金額は1回で8万円。
どんなに彼女がいい女でも、貧乏なフリーライターの俺に1回8万円はキツすぎる。

「ごめん、俺にはそんな金出せない」
セックスする気さえ失せてしまったではないか。
だが、せっかくの機会だ。
酒でも酌み交わしつつ、芳美からネット援交について話を聞くことにした。
沙織と同じ世代の芳美だが、かつての援助交際ブームのときには地方にいて、援助らしきことは一度も経験したことがなかったという。
大学進学のために親元を離れ、学校で自分のアドレスを交付されてから、芳美はネットの面白さにハマり、更様々な経験を積んでいくうちに、ネット援交を始めるようになった。

「サークルとか、いろんなつき合いをしていくうちに、どうしてもお金ってかかるものでしょう。仕送りとバイトの収入だけでは、どうしても足りなくて」
ある日、ネットで調べものをしているときに、ひょんなことから芳美は援交サイトの存在を知り、好奇心からネット援交の世界に足を踏み込んでいく。

「ネット援交を始めたときは、当時つき合っていた男と別れたこともあって、ちょっとヤケを起こしていたのかも。でも、初めての人がすごく紳士的な人で、ネット援交って思っていたより怖くない世界なんだって気付いて。それからハマったのね」
芳美のネット援交歴は約3年、月に60万くらいの収入があるという。
一度覚えた援交はなかなかやめられない?
それだけの男からの援助を可能にしている理由を、芳美から詳しく教えてもらった。
芳美がターゲットを捜すための手段として愛用しているのが、柔軟取り混ぜた出会い系のサイト。
サイトの特性に合わせて、手を替え品を替え男にアプローチをかけるのだ。

「出会い系のサイトって、ほとんど のところが女は登録料無料だし、男に入会資格が必要なところも多いから、その時点でつきあう男が厳選されるのね。彼らはお金を出してでも多くの女性と知り合いたいって人たちだから、話の持って行き方次第で、普通の出会いから援助へとステップアップさせることができるわけ」
相手の男の収入や、社会的地位などが把握できるサイトは、逆に援助を切り出しやすいそうだ。
こうした出会い系サイトの中には、男の入会が厳しい反面で、審査に通れば会員女性の顔写真を見ることができる特典があるなど、文面以外の部分から女をセレクトできるところもある。
もうひとつは、ズバリ援助交際を申し出るケース。
アクセスするときにいくつかのキーワードをたどっていくと、掲示板にたどり着くことができ、「おこづかいほしいな」などの、具体的なお願いができるサイトもあるのだ。

「こういうサイトは、面倒くささを感じなければ基本的に誰でもたどり着くことができるけど、時々法律に引っかかりそうな子、簡単に言っちゃうと高校生くらいの年の子がカキコしているから怖い。私はそういうサイトに行くときは、フリーメールを使うようにしている。だって、メールアドレスから個人情報が漏れたりしたら怖いでしょ」
安全なサイトでは堂々と、危険なサイトには細心の注意を払って、芳美は援交相手を求めに行くのだ。
その後、芳美から教えられた援交希望の掲示板にたどり着くことができた。
芳美と同年代かそれ以上の女性からの書き込みが多かったが、危惧していた年齢層の子からの書き込みも確かに存在した。

また、普通の男女のパートナー募集サイトでも、文章を読むとやんわりと援助を求めているケースも多い。
ネット援交は、実に曖昧に、しかも受け手のインスピレーションに頼って行われているのが実情だろう。
それにしても、こんなに多くの女たちが、ネットで援交相手を探しているのには驚いた。
話を聞いた女が口を揃えたように言っていた、「欲しいものがいっぱいある」という言葉が、彼女たちの限りない欲望を表している。
会社の給料だけでは、欲しいものが手に入らない現実と、楽をしてお金を儲けていた時代の名残が、彼女らをネット援交に走らせているようだ。