キャバクラ嬢の面接での出来事
キャバクラ嬢になるために必要な資格はない。
かといって女であればだれでも採用されるとは限らない。
アルバイト感覚であろうとも客商売にちがいないわけで、採用する店にしてみれば客に嫌われるようなキャバクラ嬢は百害あって一利なし。
そこで、面接では学歴や経歴、美人であるかどうかよりも、客好きするかどうかを重点にするという。
また、仕事柄いい加減なこともある程度容認されるのでは、と思いがちだが意外や意外。
決められた出勤日、時間の厳守を求める店が多い。
遅刻や欠勤には厳しいのが一般的だ。
面接ではその点も重要視される。
そしてキャバクラ嬢の採用の可否はほとんどの場合、店長もしくはマネージャー (店によって呼称がちがう)が行う。
履歴書に中学の担任の名前を書かされた摩訶不思議
[char no=1 char=”まきか”]キャバクラで働こうと思って、面接を受ける時には、いわゆる一般の文具店などで販売されている履歴書を用意する必要はないですね。[/char]
履歴書はそれぞれの店が独自のものを用意しているから。
そもそもキャバクラ嬢に経歴や学歴は関係ないんですよ。
だから一般の履歴書の内容はあまり意味がない。
いちばん重要なことは年齢です。
まちがって高校生を雇い入れたりしたら大変です。
それが見つかった場合は即刻営業停止はもちろん、もっと厳しい処罰につながってしまうから、店としてはどうしてもそれは避けたいですよね。
十六歳くらいの女の子がうまく年をごまかして働いていても、見かけやちょっとした話の内容では、年齢はわかりません。
だからバレなきゃいいって思うけど、でも、こういうのってライバル店やほかのどこかからのチクリが入るみたいなんです。
だから、ほんと、女の子の年齢には、店はすごく慎重です。
店が用意している履歴書はごく簡単なもの。
生年月日の欄があって、その隣に干支を記入する欄があります。
また、私のお店の場合は、笑っちゃいますが、「中学の担任の名前」なんて欄がありました。
これも年齢を偽っていないかどうかを判断する材料なんだとか。いまだにその意味がわからないけど。
面接は店長がしてくれます。
その時に聞かれるのはまず、こういう仕事、つまりホステスのような仕事の経験があるかどうか。
少しでも経験があれば、働ける日、働ける時間なんかを決めて、時給やその他の細かい金銭の決めをして、だいたい終了。
これがまったくはじめてというケースだと、まずキャバクラとはどんな店なのか、どんなお客さんが来るのか、なんてことを教えてもらい、それに接待の基本講習がプラスされるのね。
基本講習なんていってもたいしたことじゃないけど、水割りの作り方とか、タバコの火のつけ方、ボーイさんの呼び方とか。
そうそう、私の場合はカレがいるかどうかも聞かれました。
べつにカレがいたら悪いってことじゃなくて、カレがいた場合、カレに内緒で働くのかそれとも了解を得るなりして、話を事前にしているのかどうかがポイントなんだとか。
いきなりカレが店に来て、「こんなところで働いているのか!」なんて怒鳴るようなことも過去にあったというんです。
カレに内緒だったら、もし店に電話があった場合には、店の人がうまく対処してくれます。
もちろん親の場合も同じですね。
あと、一度店長から聞いたことがあるんだけど、まったくはじめての子が面接に来た時、こんな質問をされたって言ってました。
「お客さんに胸とか触られたりしたら、どこまで許せばいいんですか?」
これには店長も困ったらしいです。
ちょっと考えてから、
「君はどこまでだったら許すの?」
そう反対に質問してみたら、その子の答えがブッ飛んでいて、
「気持ちよかったらどこまででもいいけど」
だって。
けっきょくその子は採用されなかったらしいです。
店長がそれならイメクラに行ったほうが稼げるよって教えてあげたんだって。
聞いてなかったことがいっぱいこれって騙されたのかな
[char no=2 char=”るみい”]友達がお金を貯めたいから、キャバクラの面接を受けるって。[/char]
それではじめての水商売だし、不安だから一緒に付き合ってと頼まれたの。
私は全然そんな仕事をするつもりはなかったけど、なんとなく水商売の面姿ってどんなものかなって興味があったし、隣で聞いててもいいというので、付き合ってあげました。
面接会場は、お店の近くの喫茶店。
店長だというスーツを着た、ちょっと芸能界っぽい三十歳くらいの男の人が前に座って、いきなり質問攻め。
最初にキャバクラってどんなお店なのか知っているか、それからなにを目的に働くつもりなのか、いくら稼ぎたいのか、これまでのバイト経験はとか。
はじめは友達の受け答えを黙って聞いていたのに、そのうち私にも同じような質問をしてきて、私は付き添いで来ただけだと言いながらも、面白くてつい、アクセサリーが好きだから将来は輸入アクセサリーのお店を持ちたい、そのために三十歳くらいまでに五〇〇万円貯金してなんて、答えてしまいました。
そうしたら、免許証でも学生証でも、なんでもいいから身分証明書を見せなさいって友達と私に言ったんですよ。
だからまた、私は付き添いで来ただけです、と繰り返したのですが、
「友達と一緒なんだし、ちょっと働いてみればいいじゃない。アルバイト感覚でも、稼ぐ子は一年で五、六00万円簡単に貯めちゃうし」
その一言で、まあいいかなと思って、一緒に働くことになっちゃったわけですが、働きはじめてから、聞いてないよーってことが続々。
最初の二ヵ月間はノルマなしだけど、三ヵ月目からは指名や同伴のノルマを持たされたり、夏のイベントのときには水着を着ないといけないとか……。
そんなの面接の時に説明してくれないとわからないじゃない。
こっちが質問しなかったのが悪いんだなんて言われても、キャバクラがどんなお店かっていうのはイメージで知っていたけど、そんなシステムがあること自体知らないもん。
これって詐欺じゃないの?
そういいながらも、キャバ嬢はもう9ヶ月目。
ただ、貯金はまだ550万円くらいかな。
ひと目見ただけで働く理由を見抜かれた 感動の面接
[char no=6 char=”瞬華”]求人誌を見て電話したら、履歴書なんかいらないし、年齢のわかる身分証明書だけあればいいからって言われて、その夜にさっそく面接することになり、お店に行きました。[/char]
キャバクラで働こうと思ったのは、前のカレシが私の名前で作った借金があったからです。
全然知らなくて、別れて二ヵ月ほどしたころに突然返済を迫る電話が掛かってきて、びっくり。
前カレに事情を聞いたら、そういう事だったわけです。
前カレはほかにもいっばい借金があって、返せないっていうし、そんな男と付き合ったのが悪かったとあきらめました。
お店ではじめて会った店長が、面接に来ましたという私の顔を見るなり、「いくら借金してるの?」というんで驚きました。
なんで?まだなんにも話していないのに……。
キャバクラで働こうと思う女の子には、いくつかのパターンがあって、そのなかでいちばん多いのが借金返済のためなんだって。
面接で聞かれたのは借金の理由と額、それに月々の返済額だけでしたが、すぐに採用ってことになって、その場で前渡し金という名目で70万円を出してくれました。
正直、その70万円はすごくありがたかったけど、わぁー、こういう世界なんだってちょっと怖くなりましたね。
でも、はじめて来た女の子に70万円も貸してくれるということは、それだけ稼げる世界なんだと、感動しました。