いやー、スゲーね。
なにがって、ネットにおけるここ最近の「出会い系サイト」の乱立ぶりだよ。
オレもむかしは「iモード」の出会い系サイトにハマって、そこからはじまって、もうすでにネットとのつきあいは20年以上になるけれど、この現況は異常だね。
世の中にはスケベしかいないのか、って感じだ。
まあ、インターネットの普及には「アダルトサイトの功績」というものが、大きかったわけで、いつの時代も新しい文化や風俗をリードしていく牽引力はエロパワーなのだろう。
オヤジどもがアダルトサイトでエロ画像を見たいがために、必死になってパソコンの知識を勉強したあのころ。
それから時代は流れて、スマホが大衆に広まったあとを受けて生まれた文化・風俗が、ネットを通じた出会いなのだろう。
とはいえこうした現況には一応むかしからの土壌があった。
古くはニフティのCBである。
ここはネットナンパ・出会いの温床として数々の伝説を生み出してきたすばらしいところだ。
スマホの時代しかご存じでない方に軽く説明しよう。
自分のハンドルネームを決めてここに入室すると、各々のユーザにはジョブ番号と呼ばれるナンバーが割り当てられる。
そして、オンライン中のユーザの一覧がドバ ーッと表示されるのだ。
内部は男も女も混在で、ハンドルネームで性別を推測するしかない。
たとえば「リカ」とかいうハンドルの人間がいても、それが本当に女なのか確認する手立てはないのだ。
確認法がまったくないわけではない。
オンラインユーザ一覧には、ハンドルネームとジョブ番号のほかに、そのユーザのニフティのIDが表示されているのだ。
そして、特定のコマンドを入力することによって、そのIDのユーザのプロフィール(通称プロフ)を参照することができるのである。
ただしそのプロフィール自体もユーザが自分で設定するものなので(文字どおり自分のプロフィールを詳細に書いている人間もいるし、ごく
シンプルに「チャットセックスしよう! 当方男49歳」とだけ書いているヤツもいるし、なんのメッセージだか訳のわからんイタイ詞を書いているサイコさんがいたり、その辺はさまざまだ)これを頼りに相手の性別を特定することも難しい。
参考程度だ。
いずれにせよ、ハンドルネームやプロフを手掛かりにめぼしい相手を見つけたら、今度はその相手をチャット(ニフティの用語では「トーク」という)に誘わなければならない。
そのためにはどうするか。
このニフティCBには「ページ(通称パゲ)」と呼ばれる機能があるのだ。
どういうものかと言うと、オンラインユーザにインスタントメッセージを送る機能である。
いまで言えば、スマホや携帯電話のショートメッセージのようなものだ。
これでお目当ての相手のジョブ番号を指定してページのコマンドを入力し、一言メッセージを送ってやる。
そのやりとりでお互い意気投合したら、今度はトークのコマンドを入力し、いまのインターネットで言うところの「ツーショットチャット」に持ち込むのである。
あとは適当に会話して、口説くなりなんなりといろいろおもしろいことができた、という次第である。
さて、一昔前の話をしたが、こうして見直してみると、結局のところ現在のインターネットに見られる「出会い系サイト」のシステムは、このようなニフティCBのようなものと大差がないように思える。
進歩したのは、ブラウザというものを通じて、利用方法が親しみやすく簡単になっただけのことだろう。
イン ーネット人口が増えるにしたがい、サイト運営者がそうした利便性を追求するのは、当然のことだ。
そうでなければこの「出会い系サイト戦国時代」を生き残るなんて不可能だろう。
しかし、ただたんに利便性を求めるだけがサイト運営者において必要なことだろうか。
いや、魅力あるコンテンツがあってこそはじめてそのサイトは人気サイトになるのだ。
たとえば、男にとってはイイ女が集まるサイト、女にとってはその逆、という具合に、ユーザのニーズを満たしてこそ、そのサイトの価値がナンボという話である。
しかも、ニフティCBとはいまのインターネットで言う「有料出会い系サイト」だったのだ。
ニフティ自体が課金制を導入していたパソコン通信ネットだったのだからそれは当然なのだが、あの時代は、あれに金を払う価値があった
のである。
そう、金を払ってまで女との出会いを求めてネットナパに励む価値というものが。
オレも相当オイシイ体験をしたしな。
いま思い出してもチンピクな、くるめく体験だよ。
インターネットの普及によって、ニフティのようなパソコン通信ネットは変化せざるを得なかった。
だって、固定制のプロバイダと契約してインターネットにアクセスすれば、あと必要なものは電話料金のみ。
もちろんプロバイダとの契約料、年会費などは別途かかるけれどね。
ニフティは従量制たったうえに、さらにこちらのモデムの回線速度に応じても異なる料金設定をしていた。
そんなシステムが成り立たなくなっていったのは至極当然のなりゆきである。
インターネットのなかに出会いの場があるのなら、だれだってそっちへと流れていくよなあ。
オレだ!ってバカバカしいからニフティ使 わなくなったし。
とはいえしばらくは併用していた時期もあった。
ネットのほうでは出会い系サイトの立ちあげがあまり早くなかったというのがその理由だ。
しかし、現在ではご覧のとおり。
無料の出会い系サイトがあちこちに腐るほど並んでいる。
となれば世のスケベどもがそちらを利用するのは当然だ。
あの時代を知る者ならなおさらである。
そんな現在において、では出会い系サイトが「有料」である必要性、その存在意義はどこにあるんだろうか。