くどく、というのは甘い言葉をかけるだけが能ではない。
言葉攻撃をしなくても、オンナをくどくことができるのだ。
[話を十分に聞いてあげる]
うなずきながら、ただ聞いてあげるだけでいい。
相手が間違ったことをいっていても、自分の意見などはいっさいいわずに、ひたすら聞き続けるのである。
[うなずきながら聞く]
しゃべっていることがすべて受け入れられる。
これはオンナにとって、とてつもない快感なのだ。
[きみを愛してるよ、というセリフなど、まったく必要ない]
そんな言葉は酒場の席ではウソくさいだけだ。
それが「やりたい」のいい換えであることくらい、彼女らはよく知っているのだ。
毎晩いろんな性格の客を相手にして慢性疲労とストレスにさいなまれているキャバ嬢に必要なのは安らぎである。
そして、話をよく聞くという受け身の行為が彼女らに大きな安らぎを与えるのだ。
一度この安らぎの味を覚えた彼女らは、あなたがまた来店したときにもいろいろしゃべりまくるだろう。
そのときもただひたすら聞いてあげればいい。
すると、あなたは彼女の心理にとって必要な癒し男性になってしまうのである。
しかも彼女は、あなたを頼りがいのある男とさえ思い込んでしまう。
そうなると、彼女はオフの日でも電話をかけてきていろいろ話すようになる。
この段階になったら、彼女があなたに体をあずけるまであと半歩にせまっている。
しかし、あせってはいけない。
いつの日か、まだしゃべりたらなくてあなたをアフターに誘ってくる夜がある。
そうしたら、あなたは肩を寄せながら話を聞き、「続きはベッドの上でお話ししようか」といえばいいだけなのである。
■ひたすら話を聞いてやる。それだけでオンナは心を溶かしてくる
「ちょこっと」パワーを使え
「ちょこっと」という言葉によって、アフターの誘いだと気づかれにくくなります。
「ねえねえ、これからアフターしてくんないかな」
「アフター?.……きょう、ちょっと用あるし」
「二時間くらいでいいからさ。焼肉好きだろ。食べに行こうよ」
「うーん。太りたくないし、今夜は遠慮しとく。また、今度ね」
アフターに誘っても、だいたいはこういうふうにして断られる。
いっそ、アフターという言葉を使わないほうがいい。
アフターは危ないというイメージがあるからだ。
では、どう誘えばいいのか。
軽く誘うのである。「ちょこっと」という言葉で。
「ねえ、この近くでちょこっと蕎麦でもすすっていこうか?」
「蕎麦?このへんにそういう店あった?」
「うん、うまい店だよ。きみも腹へってるだろ。蕎麦だと太らないしさ」
「じゃあ、ちょっとだけね」
閉店後に遊んでいるわけだから、これはアフターである。
しかし、「ちょこっと」という言葉によって、これがアフターの誘いだと気づかれないわけだ。
蕎麦屋に行ったら、軽くビールを飲むか、蕎麦の他に天麩羅などを頼む。
「ちょこっと」という言葉で自然にイメージされる十分程度という時間を三十分にすることができる。
腹に食物が入れば、人間の気持ちは簡単に変わる。
彼女もまた天麩羅に著をつけ、ビールを飲み、これからカラオケで歌という気分になったりするのだ。
もし彼女が本当にざる蕎麦をすするだけで帰ろうとしても、引きとめてはいけない。
あっさり帰してあげよう。
彼女はあなたに対して安心感を持つ。
それが狙いである。
あなたに安心感があるのだから、次回の「ちょこっと」の誘いにも乗ってくる。
そのうちに、流れでカラオケなどに行くチャンスが必ず来る。
カラオケで気分よく歌い、酒を飲めば、すっかりくどかれやすいオンナの誕生というわけである。
■くどかれやすいオンナをつくれ
アタックは常連にならないうちに
アタックするなら、常連と見なされるほど店に通わないうちのほうがいい。
常連になってしまうということは、客としてもう新鮮ではないということだ。
性格やら話題やら飲み方もわかっているし、神秘性などなくなっているのだ。
オンナにもハンター本能がある。
新しい珍しいものがどういう感じなのか味わってみたいという気持ちが隠されている。
常連はもはやその本能を刺激しないからだ。
また、あなたが店のなじみになってしまえば、あなたの目から見ても、それぞれのキャバ嬢の性格や気質がわかってしまって、誘惑したい気持ちが薄くなっているはずだ。
いわばマンネリ状況ではアバンチュールは難しいというわけだ。
しかし、チャンスは減るばかりではない。
減る一方で、新しいチャンスも自然と生まれてくるのだ。
それは新しいキャバ嬢である。
バーでもキャバクラでも、一年間ずうっとキャバ嬢の顔ぶれが同じだということはめったにない。
時々、数人が入れ替わる。
その新人が新鮮なチャンスそのものである。
ただし、それまでにあなたの評判が悪ければ、キャバ嬢たちがすぐに新人に伝えて、あなたはまったく何もできなくなるだろう。
だから、酒場でのマナーは大切なのだ。
とにかく、週に一回以上の頻度で決まった店に行くようになれば常連だろう。
曜日がいつも同じとか、規則があるようだと常連と見なされる。
そうならないために、十日置いて行ったり、二週間ぶりに行ったりすればいい。
そして、慣れたふうにしないことだ。
つまり、常連のようで常連でない危ない感じを保ったほうが目立つ。
浮いた常連なら危険な匂いがするわけだ。
こうすれば神秘性を残しておける。
年中同じ酒を飲まなければならないというルールもない。
バーボンからスコッチに変えたり、ワインばかり続けてもかまわない。
そういう態度は浮気性のように見える一方、自由そうにも見える。
自由さは一種の魅力となる。
暗く飲む日があってもいい。
キャバ嬢が心配して声をかけてくれるだろう。
こうなれば、一線を越えるのも近い。
常連のようで常連でない感じで遊べ
ギャンブラーのストレートアタック
「きみを抱かせてほしい」
どうにもならないと思ったら、ストレートにこういってみるのも手である。
平手打ちを喰うことは、めったにない。
たぶん、彼女は即座に返事しないかもしれない。
しかし、彼女の中ではYESかNOか、はっきりと返事をしているのだ。
その返事は次回以降の態度からわかる。
NOならば、彼女は今までのままのふるまいである。
YESなら、いつかあなたをアフターに誘ってくる。
あるいは、あなたを特別視したり、態度を変えてきたりする。
キャバ嬢に対して、「一回でいいからやらせてくれ」という客は意外と多いものだ。
しかし、「やらせてくれ」という表現を使う限り、チャンスはゼロである。
なぜならば、「やらせてくれ」という表現は男のエゴむきだしにしか響かないからである。
つまり、オンナを物のように見ている感じがするのである。
キャバ嬢は「やれさえすれば、他の子でもいいんでしょ」と思うのだ。
しかし、「抱かせてほしい」といういい方ならば、相手の意志を尊重しているように響く。
つまり、男がへりくだった感じがして、オンナにとってはまんざらでもない表現なのである。
もちろん、「いつか、抱かせてもらえませんか」でも、「あなたと愛し合ってみたい」でもいい。
女性に対する尊敬というか、男のエゴのない表現だけが好まれるわけだ。
ただし、このようなストレートな表現をする場合、それなりに真剣にいわなくてはならない。
オンナにも性欲があるし、オンナは男の性欲の強さを知っている。
けれども、オンナとしても性欲処理のような形で抱かれたくない。
そこに愛や尊敬がなければいやだと思う。
だから、それをいい方の表現にこめるわけである。
このアタックは一回しか通用しない。
店に来るたびにいっていれば、悪い冗談でしかなくなる。
ギャンブル的なくどきだが、OKされる確率は50%もある。