客と付き合っているというキャバクラ嬢は、絶対数は少ないものの、実際にいる。
なかには客と結婚したという話まで漏れ伝わってくる。
結婚となるといささか次元がちがってくるが、一般的な男女の付き合いに関して、キャバ嬢たちの本音が気になるところだ。
キャバ嬢との恋愛は可能か
付き合いの程度が親しい男友達なのか、いわゆるカレシと呼べる間柄なのか、それとももっと打算的にいい客としてつなぎ止めるためのフェイクなのか、そのあたりを彼女たちの声から読み取るのはなかなか難しいのが現状だろう。
しかし、フェイクはさておき、たとえ付き合ってるという意味が男友達としてのレベルであっても、少なくとも店を媒介にした、客とキャバクラ嬢という関係を超えたものであることは確かである。
そのような関係への発展こそ、客からすればある意味で望むところだが、キャバクラ嬢たちの恋愛観とはどのようなものなのか。
はたして店を離れてキャバクラ嬢と「お付き合い」することは可能なのか。
また、客からすればキャバクラという職場にいる数少ない男たち、店長やボーイといった存在が気になる。
彼らは客とはちがったところでキャバクラ嬢たちと接しているし、彼女たちのことをいちばん理解しているはずだ。
キャバクラ嬢たちにとっても、彼らはいちばん身近な男であり、職業上の悩みや、プライベートな悩みを打ち明けられる存在だろう。
ほとんどの店では、男性スタッフとキャバクラ嬢の、仕事を超えたところでの付き合いを禁じている。
万が一そういうことになり、それが発覚した時には罰則も設けられているともいうが。
お店で知り合った人とは、いくら好きになっても所詮は擬似恋愛かな
お客さんとの恋愛は難しいですよ。
なかにはすごくいいなと惹かれる人も来るけど、所詮はお客さんだから。
この人とお店以外のところで知り合っていたらな、なんて思うことが多いですね。
でも、お店という箱のなかでの恋愛はできます。
そうして惹かれたお客さんには接する態度も変わるし、営業を抜きにしてもできるだけ来てほしいと心から思いますよ。
親しみとか好感とはちがった、確かに好きだって感情が芽生えますからね。
う~ん、擬似恋愛ってやつかな。
ただし、いくらそんな恋愛感情があっても、セックスには発展しません。いえ、させませんね。
私なりの経験から学んだ教訓ですが、好きなタイプのお客さんと一度でもそういう関係になってしまったら、もう絶対にお店には来てくれないんですよ。
だから、好きなお客さんとは寝ません。
もちろんお店に来てくれなくなっても、プライベートで恋愛関係が続けばいいのかもしれないけど、だいたい一回きりってことになってしまいますから、せっかく好きなのに、もう会えなくなる。
たぶんお客さんにしてみれば、こっちが多少の恋愛感情を持ってても、あくまでもキャバクラ嬢って気持ちで、恋愛とはちがった感情で接しているんでしょうね。
なかには真剣に付き合える女の子を探しに来た、なんていうお客さんもいるし、そういうお客さんと付き合う子もいますよ。
有りだとは思いますけど、私の見た限り、本音では私の経験も含めて長続きしない。
私はそれじゃ満足できません。
好きになったお客さんにはもう来ないでというの
私がいま一緒に暮らしているカレは、お客さん。前のカレもやっぱりお客さん。
だって、お客さん以外になかなか男の人と知り合えないんだもん。
キャバクラで仕事をはじめた時って、三年間付き合っていて、結婚するかしないかまでいった彼と別れたばっかりのころだったのね。
その時のショックが大きくて、もう絶対に結婚なんかしない、ひとりで生きて行くんだって決めて、キャバクラに勤めることにしたの。
半年くらいは男がいなくても全然平気だった。
いろいろなタイプのちがうお客さんたちと話をしてれば面白くて、それだけで十分満たされていたから。
でもね、やっばりふと人恋しいっていうか、そんな気分になるんです。
キャバクラの前は運送会社に勤めていて、いろんな男の人と知り合えたし、けっこう誘われたりしていたけど、ちょっといまの環境を考えてみたら、ふつうに男の人と出会える機会がないの。
お店に入るのが夜八時で、帰るのがだいたい四時くらい。
そのまま眠って、起きるのが午後二時過ぎ。
休みは日曜日と火曜日だけど、ほとんど出かけない。
そうして周りを見渡してみたら、男の人はお客さんしかいないってことになる。
それまでお客さんはお客さんで、どこか距離をおいて見ていたけど、お客さんだってふつうの男の人じゃん、毎日合コンしてると思えばいいじゃないと考え方を変えてみたの。
そうしたら、けっこういい男の人が多いことに気づいたんです。
まあ、はじめから下心だけっていう人や、キャバクラで働く女の子を蔑んで見ているような人もいるけどね。
どちらかっていうとそんな人のほうが多いけど、なかにはほんとうに、若くて、仕事もきっちりしていて、もちろん独身で彼女ナシっていう人もいるんですよ。
前のカレもいまのカレもまさにそんなタイプ。
ただ、付き合うためには何回か会って話をしないとね。
だから、やっぱり何度かお店に来てくれないとダメだし、こっちが気に入られないといけないし。
それで感覚が合ったら、こっちからアプローチします。
「もうお店には来ないで」って。
本音で言うと、お客さんとキャバクラ嬢の関係じゃ嫌だから。
内緒がバレると私たち罰金100万円とクビです
お店の子たちには内緒だけど、私、店長の女です。
ってコから聞いたエピソードがあるんだけど・・
関係が内緒なのはお店の掟をふたりして破っているからです。
女の子と店員との付き合いは100万円の罰金で、即刻クビということになっているんです。
その掟を作ったのはオーナーと店長自身。
だから、絶対に内緒なんですよ。
もしかしたらバレちゃってるかもしれないけど。
でも、はっきり言って店長と付き合ってるのは恋愛じゃない。
単なる愛人関係です。
向こうにはほかに女がいますからね。
前にうちの店にいて、いまはちがう店で働いている子です。
それでも付き合ってるのは、それなりにメリットがあるからなんです。
アプローチしてきたのは向こう。
三ヵ月連続で指名のノルマを達成できなかった時に、店が終わった後で呼び出されて、このままじゃ稼げないぞって、説教されました。
その時はほんとうに辛くて悔しくて泣いちゃった。
そしたら、やさしく肩を抱きながら、「心配するな、前からお前のことを気にかけていたんだ。だから俺が楽にしてやろう。俺と付き合えば、ノルマも楽にしてやるし、嫌な客にもつけない。時給だって上げてやる」
そう言われました。
いまから考えれば、完全なセクハラです。
でもノルマが楽になるなら、なんて思っちゃって、そのまま私のマンションの部屋へなだれ込んで、やることやっちゃいました。
好きでもない男と寝たのははじめてだったし、私はそういうタイプじゃないと自分では思っていたのに、抱かれながら、これでノルマが楽になるんだなんて頭のなかで考えていましたね。
それを機にお客さんとも付き合えるようになったかな。
なんか私のなかの、硬い殻で覆われていた女の部分が、一気にはじけちゃったんでしょう。
自分に都合さえよければ、恋だ愛だなんて騒ぐ必要ないじゃん、なんてね。
店長と付き合うのは水曜日の夜と決まっているから、ほかの日にまで束縛されないし、向こうにとっても束縛するような女でもないし。
だから、何度か同伴してくれるようなお客さんや、欲しいものは買ってやるなんて言うお客さんとは付き合ってます。
寝物語で聞いたことがあるけど、店長は私の時と同じ餌をぶら下げて、けっこうお店の子とヤッちゃってるみたい。
私もそうだけど、一回はじけちゃうとキャバクラ嬢として一皮むけるのか、お客さんと積極的に付き合えるようになるから、指名も増えるらしいの。
それでもダメで、甘えてばかりいる子は、オーナーやほかの子たちにバレる前にちがう店に追い出したり、辞めさせたりするらしいですね。
無礼講の慰安旅行はほとんど乱交パーティー
基本的には従業員どうしの付き合いはご法度。
本音で言うけど、私も嫌ですよ。
たぶんほかの女の子たちだって同じ気持ちじゃないかな。
たとえば店長は口うるさい嫌なヤツだし、ボーイなんて店長にヘコヘコするだけの情けないヤツだし。
でもね、年に一度だけど、すごいことになるの、私、知ってる。
毎年八月に、うちと赤坂店と合同で慰安旅行があるんです。
ほんとうはそんな旅行には行きたくないけど、給料から天引きで積み立てさせられているし、行かなくてもそのお金は戻ってこないから、もったいないと思って行きます。
その慰安旅行が、すごいんです。
女の子が約四十人に、男は十六人。行き先は温泉なんだけど、周りの人が見たら、いったいどんな団体なんだって思うだろうな。
女の子はみんな派手なファッションで、化粧もすごいじゃないですか。
それに男の数が少ないし。
それはいいとして、旅館に着いたらすぐに宴会がはじまります。
飲む量だって半端じゃないですよ。
キャバクラ嬢といえども、けっこうみんな日ごろからストレス溜まっていますから、酔っぱらうのもまた半端じゃない。
宴会は無礼講ですから、この時はご法度も関係なし。
いきなりキスゲームとかがはじまって、そこからはもう大乱交パーティー。
半分くらいの女の子がノリノリになって、従業員とヤッちゃいますね。
たぶんこれって、女の子のための慰安旅行じゃなくて、男性従業員のための慰安旅行じゃないかなって思う。