キャバ嬢の本音対談「アフターはケチな客には相当きびしい」

「ノルマが大変だとはいえ、同伴には同伴指名料がプラスされるじゃない。それにくらべれば、アフターは稼ぎにならないでしょ。私からすればアフターするお客さんからも連れ出し料みたいなものを取ってくれればいいのに、と思うけど」

「でもね、考えてみればアフターまでそうやってお店に管理されてしまったら、ノルマがまた増えるだけじゃない。基本的にアフターはしなくていいんだもん。自由なほうがいいな」

「お客さんは同伴よりも絶対的にアフターをしたがるよね」

「それはそうよ。そういう意味じゃアフターのほうがチャンスありだもん。ほとんど時間無制限って感じじゃない」

「お店に入ってすぐのころ、あまりにいっぱいアフターに誘われるから、店長に聞いたことがあるの。どれくらいの割合で付き合ったほうがいいのかって。答えはなし。勝手に考えろだって。ただし、アフターする時には送りがなくなるから、最低でもタクシー代を出してくれる相手を選んだほうがいいってアドバイスしてくれた」

「私も最初に聞いちゃうし、言っちゃう。アフターしてもいいけど、送りがなくなっちゃうから、タクシー代は出してくれる? って」

「嫌とは言わないよね。ただ、タクシー代がいくらかっていうのが問題にならない? 私のところはお店の近辺からだと、だいたい5,800円くらいなの。それで、アフターして帰る時に「楽しかった。ごめんね、タクシー代出してね」って言うじゃない。5,800円くらいなんだけどって言うと、ほんとうにそんなにかかるのか、どこに住んでるか最初に言えよ、だったらアフターに誘わないのになんて調子で、挙句の果てに1,000円札5枚出すような人がいるのよ」

「800円足りないぞ! そういう最後になってケチくさい男っている。ポーンと10,000円出すのが男じゃない」[

「そんなところでケチってる男は、嫌われるのまちがいなし。次にお店に来た時にはケチ男って呼ばれてるって思ったほうがいいわよね。同伴よりもアフターのほうが、その人の本性みたいなものがわかるから」

「アフターって、べつにチップをもらおうとか、お金をせしめようとか思って付き合うんじゃないんだよね。営業的な部分がないこともないけど、プライベートな遊びの感覚なのに、最後に気分悪くなっちゃうともう最悪」

「タクシー代ケチるヤツはまだマシ。一回だけトンズラされたことあるよ。三人のお客だったけど、女の子四人で付き合ったの。そいつたちは食事してる時からもうエッチ光線丸出しだったけど、こっちは四人だし、なんとかかわしていたのね。それで、カラオケへ行ったんだけど、途中で男たちが作戦会議だとかなんか言って、部屋を出たの。私たちもその間に作戦会議して、男たちが戻って来たら、とっとと逃げようっていうことになった。でもさ、いつまでたっても帰って来ないのよ。店の人に聞いたら、帰られましたよって。結局がんばってもヤレないって思ったみたい。もちろんカラオケ屋のお金は払ってないの。私たちが払うことになっちゃった」

「アフターは人を見てするべき!」
アフターこそキャバクラ遊びの金星

ある種同伴の対極にあるのがアフターである。
アフターとはそのまま店が終わった後のことを指す言葉で、キャバクラで遊ぶ客にとって女の子とアフターに流れ込むことは金星に近い。

なぜか。
理由は明快である。

同伴とちがいアフターは女の子にとって、指名料がつくとか、翌日の出勤時間がずらせるなどの直接的なメリットがないからである。
しかも、ほとんどの場合、店の閉店時間は午前二時あるいはそれ以降である。
昼間なんらかの仕事を持っているキャバクラ嬢にとっては、自らの睡眠時間を削ることになってしまう。
それをしてまでも付き合ってくれるということは、嫌われていないことが確実で、より親しくなれる可能性が高いからだ。
また、多くの店では「送り」なる、女の子を店の車で送り届けるというシステムを設けている店が多い。

この車に乗れば、女の子たちは自腹で交通費を支払う必要がなくなるわけだ。
アフターの基本ルールとして、帰りには客が女の子を送り届けるかタクシー代を手渡すが、なかには遊ぶだけ遊んでさようなら、という客もいるらしく、そうなれば交通費は女の子の自前になってしまう。

つまり、余計な出費にもなりかねないのである。

そのようなわけで、アフターを様々な理由で断るというキャバクラ嬢は多い。
店側も同伴は積極的に奨励しているが、アフターに関しては完全にキャバクラ嬢個人の判断としているところがほとんどだという。
それだけ客にとってアフターは、ついいましがたまで隣に座って飲んでいたキャバクラ嬢との、なにかを期待できる時間なのである。

アフターの誘いにのってくる=つまり多少なりとも脈あり、と思い込んでしまうのは当然。
確かに、仕事を控えてのデートというスタイルの同伴にくらべ、仕事がはねた後のデートという趣のアフターでは、女の子の気分もちがってくる。
加えて、多少なりとも店で酒を飲んでいるところに、さらにアルコールを追加するわけで、酔った勢いなる追い風が吹く。

そのまま、一気呵成に目標達成ということもあるというのだ。
アフターは嫌いじゃないけど条件をクリアしたお客限定

閉店時間の一時間前くらいに来るお客のほとんどはアフター狙いです。

席に着くなり、終わったら遊びに行こうと誘ってきますからね。

いま昼の仕事もしていないし、カレシもいない寂しいひとり暮らしの身だし、お酒も好きだからアフターするのは、私、嫌じゃない。

というか、お店が終わってそのまままっすぐ帰るのが嫌なんですね。

でも、これだけは絶対というのは、嫌なお客とはアフターしないということ。

嫌なお客に付き合うくらいなら、自腹を切ってでもお店の女の子と飲みに行ったほうがマシだもん。

これまでの経験からいえば、閉店近くのお客はまず嫌な客。

合コンでうまくいかなくて、その憂さ晴らしに飲んで、キャバクラの女でもゲットしようとか、その手の男が多くて、下心がミエミエだから。

私がアフターするお客さんの最低条件は、
②自営業か自由業
③おもしろい人
この三つです。

これをクリアしているお客さんなら、尻尾をフリフリしてついて行っちゃいますよ。

なんでかっていうと、独身がいいのは、昔OLしていたころに妻子持ちの上司と不倫していたことがあって、嫌な思いばかりしたから。

それと、OLのころにいっぱいサラリーマンを見てきて、サラリーマンに嫌悪感を持っているから。

サラリーマンっていうのが好きじゃないんですよ。

キャバクラにまで来て上司や部下の愚痴を垂れたりするでしょ。

単純に、結婚している人には、アフターは時間的にも体力的にも辛いようだし。

まあ、話のおもしろい人っていうのは、女の子みんなに共通していることでしょうけどね。

アフターする場合は、最低条件に照らし合わせて、その日最初についたお客さんと約束することもあるし、次のお客さんと決めることもあるかな。

とにかく十時か十一時には、その夜のアフター相手を決めちゃいます。

早めに予定を作っておかないと、ひとり寂しくってことになるかもしれないし。

ほかの子たちに聞いたら、だいたいアフターではカラオケに行って、最後に焼肉とかお寿司を食べてってパターンらしいけど、私はカラオケには行きません。

自分が歌うのはいいとしても、あまり知らない人の歌なんて聞きたくないしね。

それよりちょっといいワインとかスコッチなんかを飲んで、ラーメン食べて帰るのが私の基本かな。

下心はあっていいですよ。

むしろ当然だと思っています。

だって、友達でもなくカレシでもなく、キャバクラで知り合った男と女なんだもん。

でも、そこはそこ。

それはそれ。

最終的にそんな関係になるかどうかは、その時の流れってことにしておきます。

ただし、そうなることは滅多にないかな。

相手がその気満々になっても、逃げる術は持ってますから。
店外デートに誘うなら海外旅行に連れて行って

これまでに行った海外は、最初が韓国で、次がグアム、そしてラスベガスと二ューヨークだけど、海外旅行はキャバクラで働くようになってからの経験です。
旅行は全部お客さんに連れて行ってもらいました。

もちろんみんなちがうお客さんです。

それに、さすがにお土産は付かないけど、アゴ・アシ・マクラ(食事代・交通費・宿泊費)の費用は、すべてお客さん持ちです。

何度か指名で来てくれると、アフターのお誘いがかかりますよね。

特に親しくなったお客さんには付き合います。

でも、なかには夜遅くなるのがダメだという人もいるんです。

そういう人は店外デートに誘ってくるんですよ。

つまり私がお休みの日に会おうってことです。

できれば休みの日はのんびりしたいじゃないですか。

だから断ります。

そうすると、お店で趣味は旅行と私が話したのを覚えていて、のんびりするのは温泉がいいよって、温泉へ行かないかと誘われるんですよね。

そこでまた正面切って断るのもなんだから、温泉よりも海外旅行ならしたいなって言うんです。

きっとこれで諦めてくれるだろうと。

ところが、それじゃあ海外へ行こうというお客さんがいるんですよ。

こっちはそんなつもりじゃなく言ったのにね。

それでもその時点ではほんとうに実現すると思ってないけど、だんだん話が進んでしまって。

そうして最初に、三泊四日で韓国に行っちゃいました。

ほんとうに行くと決まった時には、まさか部屋は別々でお願いしますなんていえないでしょ。

それはあまりにも不自然だし。

でもやっぱり旅行にも行きたいし。

天秤にかけて、覚悟決めちゃいます。

逃げられれば儲けもの、逃げられなかったらそれまでって。

これまで四回お客さんに海外旅行に連れて行ってもらったけど、結局は最後の最後で、逃げられなかったですね。

つまりエッチしてしまったってことです。

まあこっちも覚悟しちゃってるし、旅行の開放感もあるし。

それに、たとえ宇宙旅行に連れて行ってやると言われても、心底嫌いなお客さんとはお土産付きでも行かないから。

ただ、海外旅行の場合、ある程度まとまった休みが必要になるし、なかなかお店も休ませてくれないんですよ。

そこで、同伴を増やすという条件を付けて、なんとか休みをもらわないといけない。

だから、旅行に行く前には打ち合わせを兼ねて最低三回、帰って来てから最低二回同伴していただきます。
アフターで意気込む前に

ただ気の合う女の子ともう少し飲みたい、話をしたいという理由でアフターに流れ込んだ男は別にして、最終目標をキャバクラ嬢とヤルことに定めているなら、うまくアフターに誘えたからといって有頂天になるのは禁物である。
なかにはいともたやすく関係におよべるキャバクラ嬢もいるだろう。
だが、ほとんどのキャバクラ嬢は、難攻不落の城砦だと心得ておく方がいい。

その証拠に、彼女たちは様々な自己防衛手段を身に付けている。
友達を連れて行っちゃう

ひとりのお客さんにアフター誘われて断りきれなかった時には、お店の女の子に頼んで一緒に付いて来てもらう。

相手が二人ならこっちは三人で行く。

三人ならこっちは四人と、数的に有利な状況にするの。

それも最初から言っておかないで、
「〇〇ちゃんも一緒に来たいって言うから連れて来ちゃった」

待ち合わせ場所に行って、そこではじめて人数が合わないことを知らせる。

もちろんこっちははじめから示し合わせて、そんな雰囲気にならないようにするし、途中でひとりが帰るってこともないようにしている。
福沢諭吉がボディガード

口から出まかせの嘘は、私たちキャバクラ嬢にとっての必要悪。

お客だって私たちに言ってることの半分はウソでしょ。

お店でどんなにいいことを言っても信用しません。

だからアフターする場合にも、信用できない人と遊ぶんだからって意識はつねに持っています。

アフターしていて危険な場合はもちろん、途中で嫌になって早く帰りたくなることもあります。

そんな時のために、私はボーイさんに毎月一万円渡してボディガードになってもらってます。

ボディガードは大げさだけど、基本的にはアフターの後、二時間後に私の携帯に電話してもらうだけ。

それで、アフターしている相手が嫌なヤツなら電話に出て深刻そうにハイ、ハイなんて言うの。

ボーイさんはなにも言いません。

お芝居です。
「ごめんなさい。お母さんが倒れちゃった。すぐに行かなきゃ」
電話を切った後、こう言うんです。

これでまちがいなく逃げられますね。

それで万が一逃げられなかった場合は、ボーイさんに電話して、駆けつけてもらうんです。

この時はまさにボディガードになるんだけど、これまで登場してもらったことはないですね。
生理用品がお守り

私は生理の周期が安定していて、ほとんど狂わないけど、いつもバッグのなかに生理用品を入れてるの。

アフターしていてヤバくなった時に、突然生理になるためにね。

しかも、私の生理ってチョー重いことにして、下腹押さえちゃう。

生理になったって、言葉で言うだけだと信じてくれない人も多いけど、ほらって生理用品を目の前に突き出すと、だいたい大丈夫。

俺は生理中でもいいなんていうヤツもいるけど、そんな場合には生理なんだから徹底して不機嫌な態度になってやります。
しつこい客に効果抜群!キャバ嬢が客の耳もとでする話

お客さんを失うことになるかもしれないけど、ほとんど力ずくで迫ってくる危なそうな人の時には、内緒なんだけどと、いかにもいわくありそうな口ぶりで、

「うちの店のオーナーはそのスジの人で、いまちょっとお手当てもらってるの。それで前に付き合ってた元カレがヨリを戻そうってうるさいの、とオーナーに言ったら、その次の日から、毎日掛かってきていた電話がパタッとなくなっちゃった」

みたいなことを耳もとで話してあげる。

オーナーは不動産会社なんだけどね。